富岡製糸場は日本の工法で造ったヨーロッパ建築です。

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群馬県富岡市にある日本初の器械製糸工場です。
私が小学生の頃は「富岡製糸工場」と教わりましたが、
世界文化遺産登録に向けて「旧富岡製糸場」と呼び名を変えております。

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明治5年創業から栄華を誇る頃の写真です。
当時の日本が輸出を期待できるものといえば絹でしたが、
外国に比べて質で大きく差が開いていたため国の政策でこのような大きな工場を造りました。

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早く欧米の文化に追いつこうと幕末から明治にかけて、
お雇い外国人技術者を招聘して開業から運営までのサポートをして頂きました。

海外青年協力隊を更に高待遇にしたものでしょうか?

画像のブリューナ館もお雇い外国人ブリューナさん専用の豪邸です。
地下室の格子も見えてます。

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工場の外壁に苦労のあとが伺えます。
西欧の建築工法はレンガを積み上げた組積造です。
壁を造ってその上に屋根を乗せて、壁全体で屋根を支えます。

日本は木製の柱と梁で構成された軸組み工法。

職人さん達は日本の工法しか理解できず、
レンガもありません。

ブリューナーさん困りました。

15年前、私は南仏風の住宅を設計し、外壁の角に丸みを持たせたり、
ウロコのような模様をつけるように左官屋さんにお願いしました。

当時の左官屋さんは角はキッチリ上から下まで刃物のように鋭角で、
壁はどこまでも平滑に仕上げることがイイ仕事と言われてました。

「その腕の良い大工さんに角は丸く、壁はウロコに」
とお願いしたら、それはそれは左官屋さん悩んでしまいました。

それでも頑張って丸みを持たせたり、ウロコをつけたりしたのですが、
次の角、次の壁に移ると次第に丸みがなくなり、ウロコが無くなり、、、、

ブリューナーさんの気持ちワカリマス。

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そんなブリューナーさん、なんちゃって洋館に仕上げました。
レンガは近くの山で造り、大工さんにいつものように木で柱と梁を汲んでもらい、
間の壁にレンガを敷き詰めました。

レンガのつみ方も同じ外壁面でもまちまち。
試行錯誤の跡が伺えます。

バルコニーも木造です。
屋根を出してますが高温多湿の日本は直ぐに腐りますよ。
ムッシュブリューナーさん。

shige

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